屋根材によって施工内容が変わります
塗装屋ですので、なんでも塗って直せればそれがいちばん良いのですが、屋根に関しては見極めが重要になります。
塗装しても十分な耐久性が発揮できない場合もありますし、使う塗料や下地処理にも気を使わなくてはいけません。
スレート屋根の耐久性は一般的に20~30年程度です。塗装することで寿命を延ばすことはできますが、劣化の程度によっては、塗装の効果を十分に発揮できないこともあります。屋根は特に、現状を見ないと、はっきりしたことは申し上げにくいのが正直なところではあります。
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スレート(コロニアル)
最も多い屋根材。20~30年耐久でメンテナンスが必要。
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瓦屋根(粘土瓦)
瓦自体は、100年でも持つが、漆喰や防水シートはメンテナンスが必要。
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モニエル瓦・セメント瓦
耐久性は30年程度。定期的な塗装やメンテナンスが必要。
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アスファルトシングル
基本的には塗装は不要。劣化が進んで来たら、葺き替えかカバー工事。
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ガルバリウム・トタン
トタンなら張替え、ガルバリウムはコーキングのメンテナンスでOK。
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陸屋根(屋上)
FRP防水、ウレタン塗膜防水等、10年に一度、防水工事が必要。
劣化の状況によっては塗装NG!
塗装でメンテナンスできる状態であれば、何の問題もありません。平均して、築年数が8~12年くらいであれば、一般的なスレート屋根なら、塗装工事で問題ありません。
しかし、15年以上経過していると、紫外線や風でスレートの劣化が進行し、屋根塗装をしようにも、塗装前の高圧洗浄で、スレート板がぱりぱりと割れてしまうこともあるのです。劣化があまりに進行している場合は、カバー工法なども検討していただくのがベストです。
下塗りが重要!耐久性に差が出ます!
屋根塗装は下塗りが命といっても過言ではありません。屋根は家の外装の中で、もっとも紫外線・風雨にさらされます。下塗りがいい加減な状態で塗装しても、早期塗膜剥がれがおきます。
屋根塗装の本来の目的は、屋根材の寿命を延ばすことです。そのためには、屋根材自体と塗料を密着させる下塗りをどれだけ丁寧にするかがポイントなのです。
下塗り材は、シーラー、フィラーなどといいますが、屋根材の劣化が進んでいる場合は、この下塗り材がしみこんでしまい、十分な下塗り塗膜が形成されません。この状態で、中塗り・上塗りをしても、塗膜の密着が不十分となり、早期塗膜剥離の原因となります。
基本は3度塗りですが、屋根の劣化の程度によっては、下塗りを2回塗る4度塗りが必要な場合が多々あるのです。
下塗り後に、屋根材が湿った感じでツヤがある状態が作れれば、下塗り塗膜の完成です。塗料の性能も十分に発揮されるでしょう。
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屋根塗装の際、スレート板が塗料でくっついてしまうと、屋根材の裏まで、毛細管現象で雨水を吸い上げられ、雨漏りの原因となることがあります。それを防ぐために、縁切りという作業があります。昔は一つ一つ手作業で縁切りしていましたが、今はタスペーサーという道具を使って屋根材同士がくっつかないようにしています。
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屋根塗装の際、この板金を固定している釘が浮いているケースが多々あります。これを放置しておくと、釘がゆるんだ箇所から雨水が侵入し、雨漏りの原因となったり、強風の際に、棟板がはがれることもあります。塗装の際に、釘を打ち直し、場合によってはコーキング処置をすることも大切なポイントなのです。
塗装してはいけない
屋根もあります!
スレート屋根は、20~30年ほどの耐用年数といわれていますが、2000年~2010年頃のノンアスベストの屋根は、耐久性が低いものが多いです。
2000年にアスベストが全面禁止となり、アスベストを含まない屋根に変わった初期の屋根材は、耐久性が不十分なものが多く、以下に記載した屋根材は、塗装が難しいケースが多々あります。
屋根材によっては、カバー工法や葺き替えをご検討下さい。
塗装をオススメしない屋根材
- ・ニチハ パミール
製造時期:1996~2008年 - ・松下電工 レサス・シルバス
製造期間:1999~2006年 - ・クボタ アーバニーグラッサ・ザルフグラッサ
製造時期:2001~2005年 - ・セキスイかわらU
製造時期:1990~2007年
屋根塗装をする際、外壁塗装と同時に施工するケースが多いと思います。その際、屋根塗装に使う塗料は外壁塗装に使う塗料よりも、ワンランク上の塗料を選ぶことをオススメしています。
理由としては、屋根は外壁よりも紫外線や風雨にさらされるため、劣化が早く進行します。次の塗り替えも、屋根と外壁を同時にすることをお考えであれば、屋根はワンランク上の塗料を塗ることをおすすめします。
外壁がシリコンであれば、屋根は、ラジカルかフッ素、外壁がフッ素であれば、屋根は無機塗料、などといった選定が一番賢い選び方ですね。